Four Seasons Firenze
先人の遺産を食いつぶして日々の糧を得ていると陰口をたたかれるイタリアの、その最たるものは観光地におけるホテル。いたずらに星ばかりをつけて、その為に増大する税金をお客様に押し付けるかのごとく、年々驚くほど料金アップ。それじゃだめでしょー、一見さん相手商売はいつか自分に返ってくるって。と思っていたら、今がまさにそのまっただ中の模様。 「お客様を呼ぶにはどうすべきか」とプレス内覧会で演説したのは、この15日に正式オープンするフォーシーズンズ・フィレンツェの出資会社社長である、侯爵家の長男ヤコポ・マッツェイ。お父上はフィレンツェ貯蓄銀行の元頭取、弟達はカステッロ・フォンテルートリはじめとするワインビジネスで着実に業績を伸ばしているフィレンツェ貴族界の成功者の家系だけに、説得力がある。 フィレンツェの旧市街にまだこれだけまとまった土地があったのか、と思う11haには、15世紀に遡るゲラルデスカ家の屋敷(客室数79)、プライベートガーデン付きの個室ヴィッラ、スイートルームばかり40室近くが収まるデパンダンス、さらに、スパ棟、ジム棟が点在する。内覧会当日はまだまだ工事中だったけれど、とりかかって7年でよくぞここまでこの国でこぎつけたと、当事者でなくとも感無量。 フィレンツェの五つ星といえば、旧態依然のエクセルシオールとグランドホテル、スタッフはいいけれど団体さんも受け入れてしまうヴィッラ・メディチ、場所はいいけれど部屋が極端に狭いヘルヴェティア・ブリストルなど、はっきり言ってぱっとしなかった。フォーシーズンズも足の便からいうと少し不利かもしれないけれど、「一客室に2人の割合で従業員がいる」ことの利点を徹底すれば、間違いなくフィレンツェ随一のホテルとなる。 そしてレストラン。「宿泊以外のお客様にもどんどん利用してもらう」と、日本では「今更?」なコンセプトもフィレンツェではまだまだ新鮮。シェフは、ミラノ・フォーシーズンズの重鎮シェフの弟子、フォーシーズンズ・プラハで腕を振るったという吾人。ホテルのダイニングはねぇ...というネガティブ思考を、さぁどこまで払拭できるか。でも、少なくともドルチェではフィレンツェ一番になれると確信しました。mnmSAPORITAをもっと見る
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