Portovenere

雨天曇天晴天が一日置きに繰り返される、春目前のフィレンツェ。その間隙を縫って行った先は、リグーリア州のポルトヴェーネレ。

オフシーズンの港にいるのは網を繕う漁師と使用済みダスキンのような猫がぽつん、ぽつんといるのみ。しかしそんな鄙びた空気にひたったのもつかの間。路地裏に一歩足を踏み入れると歓声とともにどどどっと通りを走り抜ける子供達の一群。道ばたにたたずんでいたじいさんが「こっちこいや」とばかりに手招きするので、避難しに入った店はペスト・ジェノヴェーゼ&フォカッチャの手作り工房。ふう、ようやく落ち着いた、と思った瞬間再び子供達の集団が店の前を通過。店のおばさまが「ラガッツィ!!フォカッチャ味見してきなさ〜い」と声をかけるとそれを合図に、子供達がどどどっと殺到。

なのでこちらはやむなくさらに隣の店へ避難。そこで手作りテスタローリ、トロフィエッティ、トゥレネッテ、アンチョビ、無添加ペスト・ジェノヴェーゼなど購入し、さらに帰りがけににラ・スペツィアでファリナータも買う。まるでリグーリアまで買い出しに来たかのような状態でフィレンツェへ戻ると再びしとしと憂鬱な雨。春まであと一息、か。MASA