Santagostino23@FIRENZE

再びミュンヘン経由でフィレンツェに戻ってからというもの雑事に追われた日々はあっという間に過ぎ、外の空気が恋しくなって出かけると復活祭を控えたフィレンツェ旧市街はものすごい人、人、人。ポンテ・ヴェッキオを渡るのもひと苦労で、ようやくたどり着いたオルトラルノでは手袋屋Madovaの2階でボヤ騒ぎがあったものの、小さな広場の奥にあるワインバーVolpi e l’Uvaはいつもと変わらず盛況ぶり。酒はフランチャコルタとソーヴィニョン・ブラン、つまみは「あれ」ことサルシッチャのクロストーネ・トリュフ・オイル風味とサラミ盛り、チーズ盛り。ちなみにこれは4人でのアペリティーヴォで、決して一人で食べたわけではありません。その後河岸変えてキアニーナのハンバーガーでも食べようとルンガルノ23に向かうも本日パスクア前の宴席多数で満席。

で、次に向かったのはサンタゴスティーノ23で、象の耳こと巨大トンカツOrecchia di Elefante食べつつとSanct Valentinのピノ・ネロ。象の耳といえば故辻静雄先生のエッセイにブレッサノーネの象亭ことHotel Elefanteと象料理(といってももちろん象を食べるわけではない)の話が出てくるが、そのハイライトが特大コトレッタ「象の耳」。紅顔の●少年だった20代の頃にこの文章を読んで以来アルト・アディジェ風満漢全席にいつの日か挑戦する機会を模索し続けるも未だその夢叶わず。サンタゴスティーノ23のコトレッタは本家象の耳やかくや、と思わせるような迫力のビジュアルで自家製ポテトチップが山盛り。これらをアンチョビを使ったサルサ・アチュガータをつけつつ食べるとなぜかアジフライの味になる。

店を出てピッティ宮殿前のカフェでネグロニ一杯ひっかけたあと、ブカ・デッロラフォの前を通りがかるとちょうど店を閉めんとす。店内は大音響のクラブと化していて、何やら怪しげな雰囲気を体から放射しているジョルダーノ、サンドロらと邂逅。OBのR太が店の奥からごそごそとグラッパを4杯調達して来てこれを店の前で立ち飲み。半径数百メートルという狭い範囲でのヴェネツィア・バーカロ巡りならぬフィレンツェ・ハシゴ酒。MASA