Vecchio Mulino@Castelnuovo Garfagnana

ルッカから北上して山奥へ向かうこと約1時間。ようやくたどり着くのがトスカーナの秘境、カステルヌオーヴォ・ガルファニャーナであります。この小さな町のことは何度か各誌で紹介したことがありますが、スローフード運動が盛んでプレシディオ食材の宝庫。古代種オットフィーレのトウモロコシやビロルド、栗、ファーロ、ジャガイモなどなど豊かな山の食材を堪能させてくれるのですが、その中心人物が居酒屋ヴェッキオ・ムリーノの店主アンドレア・ベルトゥッチ。一度見たら忘れられないその巨漢とはなぜか縁があり、サグラやイベントなどあちこちで出くわすうちに仲良くなり、連絡をとる仲に。昨年はダリオ・チェッキーニ@パンツァーノ・イン・キャンティでばったり出くわすハプニングもあったのでした。

で、この日はアンドレアに呼ばれて朝からガルファニャーナ旧市街にあるチョコレート工房の見学。職人マッシミリアーノはAntica Pasticceria Fronte della Roccaの若きオーナーで、よく見てみれば以前栗祭りで来たことのあるパスティッチェリアだったことが判明。ヘーゼルナッツ、リゾ・ソッフィアート、トレッビアーノの干しぶどうなどのチョコが美味しく、さらに酒飲み用に作るサラティーニ、つまり甘くないつまみも充実。できたての鱒&パンチェタのオーブン焼き(!!)、イチゴとカプリーノなぞつまみつつプロセッコを一杯。ガルファニャーノへお越しの際は是非マッシミリアーノ君のお店にお立ち寄り下さい。

やがて昼時になったのでアンドレアとともにヴェッキオ・ムリーノに向かう。本日は我らとPK女史、さらにさきほどのチョコ職人マッシミリアーノも同席し、4人での午餐会。ルッカの地ビールLa Petrognola、さらに赤はPalistorti。これらを飲んでるとやがて出て来るのがアンドレアが用意するいつもの地元の食材を中心にしたそれはそれはシブイつまみ。

以前某女性イタリア料理研究家&人にはいえないパートナーである某料理カメラマンをお連れしたところ「少しづつ味見したいから」と一口だけ手をつけてあとは2人して全て盛大に残す、という大胆な食べ方をして、アンドレアも「どうした?気に入らないのか?まずいのか?」と周りのみんなが嫌〜な思いを胸に抱いて店を後にしたことがありましたが、そういうことは店でなく二人きりでやってほしいものです。

まずはインサラータ・ディ・ファーロ、ついで古代種オットフィーレのぞろりとしたポレンタ。いずれもルッカの上質のオイルをかけて食べる。さらにモデナ県境で作るプロシュート、野草、ジャガイモ、ファーロのトルタ・サラータ、メインはアンドレアお得意の業界でいう「ハム盛り」ことサラーメ類の盛り合わせ。乾燥ポルチーニとともに桶の中で漬け込んだマンツォ、カポコッロ、ビロルド、ラルド、モルタデッラ、ロンツィーナなどなど。付け合わせは間引きズッキーニの生。ペコリーノで締めてもお勘定は目を疑う安さ。日曜日のこの日はバイカーで一杯でしたが、ルッカの山奥へ珍味でも食いに行くか、というワン・デイ・トリップはガルファニャーナあたりでもすっかり定着しているようであります。MASA