Cous Cous Fest開戦前夜
6月に行われたGirotonnoはじめ、イタリアの食のイベントを仕切るアンジェラ・アバーテからある日こんな招待状が届いた。「9月末にサン・ヴィート・ロ・カポで行われる世界クスクス選手権に日本代表審査委員としてご参加下さいますようお願い申し上げます」。 サン・ヴィート・ロ・カポを訪れるのは12年ぶりになる。前回訪れたのは「シチリア美食の王国へ」の取材中のこと。当時は郷土料理を求めてシチリア中東奔西走、西海岸の郷土料理にクスクスがあると聞き、人づてにクスクス大会で優勝し「クスクスの女王」の異名をとるマリルーのもとを訪ねたのだった。その時の話は「シチリア美食の王国へ」に詳しく書いたので割愛するとして、それ以来月日は流れて12年、今度は審査委員としてサン・ヴィート・ロ・カポの地を踏むことになるとは、当然のことながら思いもしなかった。 今回もGirotonnoと同じく審査委員長はIdentita Goloseで知られる、わたしが敬愛するイタリア一のフード・ジャーナリスト、パオロ・マルキPaolo Marchi。そして同じくイタリア最強の女性フード・ブロガー、キアラ・マーチChiara Maci。Girotonnoには招待ジャーナリストとして参加していた、仏紙ル・モンドにグルメ・マンガを執筆するイタリア語堪能なフランス人女性フィアンマFiamma。そしてサン・ヴィート・ロ・カポの記者会見場に着くや否や「日本の天正献欧使節がボローニャに滞在したのを知ってるか?」と話しかけて来てくれたLe Vie del Gusto誌編集長ジャンカルロ・ロベルシGiancarlo Roversiなどなど総勢11名。第17回になる今回、参加したのはクスクスをソウルフードとする全10ケ国。2ケ国づつが対戦し、それぞれの対戦を勝ち抜いた勝者5ケ国のうち上位3ケ国が決勝に進み、優勝を争うシステムとなっている。 さらに招待シェフとしてクラウディオ・サドレルClaudio Sadler、サルデーニャの雄ルイジ・ポマータLuigi Pomata、南イタリアの2つ星シェフ、ジェンナーロ・エスポージトGennaro Espositoなど蒼々たる顔ぶれが集う、日本ではマイナーだがヨーロッパでは評価が高い国際的な大会なのである。2014年9月24日、サン・ヴィート・ロ・カポのビーチに設けられた記者会見場ではパオロ・マルキによる開会宣言とともに第17回世界クスクス選手権が幕を開けた。3日間クスクス漬けの日々が始まるのである。SAPORITAをもっと見る
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