フィレンツェ美食散歩06 アンティコ・リストロ・カンビ

「カンビ」がアルノ川対岸地区、サンフレディアーノに誕生したのは1950年のこと。当初は従兄弟同士のシルヴァーノとブルーノがワインの量り売り兼、ワインを飲ませ簡単なつまみも出す「フィアスケッテリア」としてオープン。間もなく当時アルノ川の川砂利をすくっていた作業員「レナイオーロ」たちのたまり場となり、店はにぎわいを見せるようになったそう。

それから時は流れて半世紀あまり。経営はそれぞれの息子ファビオとステファノへと移ったが、今も従兄弟同士が店を守る伝統のスタイルは変わらない。

店を入ってすぐ右手にあるカウンター「バンコ」は昔と変わらぬ「カンビ」のシンボル。フィノッキオーナやラルドなどトスカーナを代表するサラミがずらり。圧巻はショーケースに並ぶビステッカで、これだけの肉が日々消費されるのかと思うとたじたじとなる。

とはいえ料理は決して度を超した特大盛り、というわけではなくいたって控えめ。古い木のテーブルとカルタ・ジャッラと呼ばれるシンプルな紙のランチョン・マット、それにデュラレックスのグラスがやけに落ち着く。名物の「ボッリート・ミスト」を頼めばガラスのボウルに茹で肉とブロードがたっぷり。別皿のサルサ・ヴェルデをつけて食べれば至福の時。

Via Sant'Onofrio 1/R, 50124, Florence, Italy

+39 055 217134
www.anticoristorodicambi.it