フィレンツェ美食散歩08ブカデッロラフォ

この店は、実は正しく“体育会系”だと思う。その理由は、味の濃さに尽きる。味覚を通して脳に染み渡る一種しびれのような知覚を “濃いと感じる”と表現するならば、この店の料理はまさしく、濃い。この濃さに、初めは「だめだ、ついていけない」と思う。しかし、何度か繰り返し体験していくうちに、その濃さを当然のものと受け止め、しばらく遠のいていると無性に欲しくなる。これを、味覚のトスカーナ化と呼んでいるが、今やフィレンツェでトスカーナ化を仕込んでくれる店は稀少である。

ヴェッキオ橋のたもと、数段の階段を下りた地下の小さな店。客席はひしめくように約35席、旅行者も地元民も入り交じり、手渡されたメニューを眺める。A41枚に毎日プリントされるメニューには、通年ほぼお決まりの前菜、プリモが8種類ほど、肉を中心にボリュームあるセコンドが20種ほど並ぶ。

迷った時はまずパスタを選ぶ。春なら生のグリンピース、秋にはポルチーニ、金曜日ならバッカラといった具合に季節や伝統を感じることができる。定番のスーゴ(ミートソース)でトスカーナ化を目指すもいい。ただし、定期的に帰ってきたくなることを覚悟の上で。

Via dei Girolami,28r Firenze
055-213619
12.30~14.30 19.30~22.30
日曜 月曜