フィレンツェ美食散歩16 サン・ロレンツォ中央市場

一八六一年にイタリア統一王国が誕生し、六五年から七〇年までフィレンツェがその首都であった時、街の大改造が行われた。この中央市場もバラックを取り壊した跡に作られた、当時としては先進の建造物。しかし今、市場の中身は様変わりし、古くからの店がなくなる代わりに土産物店が増殖している。寂しい限り。

とは言うものの、やっぱりここは我が家の台所であることに変わりはない。一階正面入ってすぐ左手の「バローニ」でサラミ&チーズを、その向かいの「コンティ」でミニドライトマトを買う。二階に上がって右奥にある八百屋の「ステファノ」を回り、再び一階で肉と魚を物色。買い物がすんで一息つくなら一階右奥の「ポークス」でポルケッタと赤ワイン、しっかり食べるなら右手前の「ネルボーネ」でランプレドットの煮込み、といった具合。多い時で週に三回は行ってしまうのである。

フィレンツェの変わらぬ味を試すなら「ネルボーネ」トリッパやランプレドットの煮込みが名物。二階右手奥の八百屋のステファノはディスプレイにもこだわりがあり、一人で黙々と作業する。一階入り口すぐ左手の「コンティ」はドライミニトマトのほか、オリーブオイルも充実。全体が紫で統一された通称バール・フィオレンティーナ。上等なサラミやチーズの「バローニ」などが見どころ。

Via dell’Ariento, 10/14 7:00~14:00 日曜休み