フィレンツェ美食散歩19 レ・ヴォルピ・エ・ルーヴァ
この店の名前は「キツネとブドウ」。イソップの童話でのどの乾いたキツネが樹上のブドウを取ろうと試みるも果たせず、「どうせ酸っぱいや」と負け惜しみを言ったとか...そんな他愛もないファンタジーを店名にするあたりになんともイタリア的な遊び心を感じる。しかし、エノロゴ(醸造家)とソムリエが共同で「フィレンツェにワイン愛好家のためのワインバーを」と立ち上げただけあって中身は真剣、今やフィレンツェ随一のこだわりのスポットと誰もが認めるところである。 黒板にびっしりと書かれたグラスワインリスト、イタリアのみならずフランスからも取り寄せた選りすぐりのチーズ、手でスライスしたハムとサラミ。棚に並んだボトルワインは、余所のエノテカではまずお目にかかれない稀少品、しかもそれが10ユーロ前後からとお手頃価格。毎日通う常連がいるのも道理である。この店の良い点がもう一つ、それは、お客を適度に放っておいてくれること。静かに飲みたい時、友達とおしゃべりに興じたい時にありがたい。そして、グラスが空いたなという頃になると、「次はどうする」と聞いてくる。気の利いたワインバーの条件が全て揃っているのだ。アジアーゴチーズとトリュフ入りサルシッチャをのせてトースターで焙ったクロストーネは、チーズとトリュフのえも言われぬ香りに、ワインがまた進んでしまう。E6.50Piazza dei Rossi,1 Firenze 055-2398132 11:00〜21:00 日曜 www.levolpieluva.com
SAPORITAをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。