フィレンツェ美食散歩27 ドルチ&ドルチェッツェ

素朴で豪快、というのはイタリア料理の魅力の一つだが、こと菓子となると時にそれだけでは“きつい”。見た目のエレガンスというものがないと楽しみが半減するのではないかと思う。故ジュリオ・コルティは32歳の時にそれまでのフォトグラファーというキャリアを捨て、独学で菓子作りを始めた。そして5年目にして名店「チブレオ」のファビオ・ピッキに認められ、「ドルチ&ドルチェッツェ」は一躍有名店となる。フォトグラファーとしての感性が投影されたジュリオのドルチェは、なんといってもその姿形が美しい。そして、過不足ない甘味に裏打ちされたチョコレートなり、果物なりのストレートな味わいは、人々を陶酔の世界へと誘う。

ジュリオは自らの“作品”をスパークリングワインと合わせることを好んだ。普段は泡柔らかなプロセッコと、そしてクリスマスには華やかなシャンパンを。ドルチェはスパークリングワインによってさらに高みへと引き上げられる。彼亡き後、イラリア夫人とスタッフはその意思を継ぎ、変わらぬ味を提供する。スタンディングのみのカウンターの片隅に、いつもきりっと冷えたプロセッコを用意して。

Piazza Beccaria, 8r Firenze
055-2345458
8:30〜19:30 日曜〜13:00 月曜