オステリア・フランチェスカーナが世界一に返り咲く!!

2018年6月19日、スペインのビルバオで行われた「世界ベストレストラン50」表彰式で「オステリア・フランチェスカーナ」が2年ぶりの世界一に返り咲いた。昨年1位だったNYの「イレブン・マジソン・パーク」は4位に降格し、3位「ミラズール」(フランス)、2位「エル・セレール・カン・ロカ」とベスト3はいずれもヨーロッパ勢が独占。昨年メルボルンで行われた表彰式で「イレブン・マジソン・パーク」が世界一になったとき、前年度1位から降格したマッシモ・ボットゥーラは傍目にもわかるほどの落ち込みぐあいだったが見事1年でリベンジを果たしたわけである。

「世界ベストレストラン50」は全世界26ケ国、1080人の投票者が18ケ月以内に訪問したレストランへの投票で決まる。つまり、物理的に予約をとって食事しないと1票も集まらないわけだが、そういう意味ではニューヨークでもパリでもなく、モデナという地方都市にありわずか38席しかない「オステリア・フランチェスカーナ」が世界一を獲得したのは地理的、数的ハンデを乗り越えたという点でも意義がある。

昨年度1位だった「イレブン・マジソン・パーク」は、2016年度の表彰式がニューヨークだったことから多くの投票者が訪問したゆえの結果、という分析もあるが2018年度に関していうならばマッシモ・ボットゥーラがライフワークとして行なっている慈善レストラン「レフェットリオ」も評価されてのことではないかと思う。ビルバオの壇上に上がったマッシモはこんなスピーチで表彰式をしめくくった。

「世界一というタイトルはまずモデナとフィレンツェにいるスタッフに捧げたい。しかしパリのレフェットリオのスタッフは表彰式の前に写真を送ってきてくれて、こんなメッセージがついていた。『われわれ全員、マッシモとともに!!』。これはとても素晴らしいことだ。われわれはこうした点で一つになっている。こうしたスポットライトは全てのシェフに当てたいし、そうすることで大きな声で変革を呼びかけることができる。シェフもいまこの会場にいるジャーナリストも全員が力をあわせてひとつになれば、革命を起こせるし、世界を変えることができる。」

マッシモがつねづねいうのはこうした格付けなどでシェフが世界的に認識されれば発言力も強まる。そうすれば料理の力で世界を変えることができるのではないか、ということだ。マッシモが取り組んでいるフードロスと貧困に対する活動は、消費主義社会とガストロノミーにおいてはある種二律背反的にも聞こえるが、トップシェフが発言するからこそ説得力がある、というのがマッシモの考えだ。ガストロノミーを超えた新しい料理の世界を創造しつつあるマッシモ・ボットゥーラに祝福を送りたい。

The Worlds 50 Best Restaurant

1位 Osteria Francescana (ITALIA)
2位 El Celler de Can Roca (SPAIN)
3位 Mirazur (FRANCE)
4位 Eleven Madison Park (USA)
5位 Gagaan (THAILAND)
6位 Central (PERU)
7位 Maido (PERU)
8位 Arpege (FRANCE)
9位 Mugaritz (SPAIN)
10位 Asador Etxebarri (SPAIN)