ディ・チェコ De Ceccoのマスター・セミナー Visionary Italian Seminar
去る2019年7月29日、六本木ヒルズ内ヒルズクラブにて「ディ・チェコセミナー 2019 DE CECCO presents Visionary Italian Seminar」が行われた。これはイタリアを代表するパスタ・メーカーであるディ・チェコが、2013年の発売30周年を機にはじめた、シェフとともに日本各地を巡るイベントの一環。今年は「イタリア料理の今、これから」と題し、郷土料理だけでないガストロノミーを体感できる革新のリストランテ台頭の時代を迎え、今後イタリア料理がどのように進化し、模倣ではない独自のスタイルを創造していくのか、という非常に興味深いテーマ。ともすれば模倣的郷土料理一辺倒になりがちなイタリア料理の現状に一石を投じるのではないか、と思いながら招待状を握りしめて六本木ヒルズに向かった。今回登場するのは日髙良実(アクアパッツア 青山)、坂本健(チェンチ 京都)、カルミネ・アマランテ(ハインツ・ベック 大手町)の3シェフがロング、ショートそれぞれ1品ずつオリジナル・パスタ料理を披露、招待客に試食させるという貴重なイベントだった。今回登場した6品を順番通りに紹介する。
冷製フェデリーニのアクアパッツァ仕立て(日髙良実シェフ)
材料(2人分) ・ディ・チェコNo.10フェデリーニ・・・・・・・・40g ・アサリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8ケ ・白身魚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80g ・ドライトマト・・・16ケ(混ぜる用8ケ、飾り用8ケ) ・アサリだし(煮詰めたもの)*・・・・・・・・40g ・EXVオイル(アサリだしと合わせる用)・・・40g ・トマトパウダー*・・・・・・・・・・・・・・・適量 ・オリーヴパウダー*・・・・・・・・・・・・・・適量 ・ケイパーパウダー・・・・・・・・・・・・・・・適量 ・マイクロパセリ・・・・・・・・・・・・・・・・10ケ ・マイクロバジル・・・・・・・・・・・・・・・・10枚 ・塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量 ・EXVオイル・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量 作り方 ①白身魚に塩をし、浅捌と一緒に蒸して、冷ましておく。 ②鍋にたっぷりのお湯を沸かし1%の塩を入れ、フェデリーニを7分 10秒茄でる。 ③1の浅捌を殻からはずし、白身魚を食べやすい大きさにカットし ボウルに入れ塩、EXVオイルと和えておく。 ④混ぜる用のドライトマトを細か(刻み、煮詰めたアサリだし、EXV オイルと一緒にボールで合わせておく。 ⑤2が茄で上がったら、氷水に落としペーパータオルで水気を切って4に入れ味を調え、お皿に盛りつける。3の浅捌、白身魚、ドライトマトを盛り、3種類のパウダーをかけ、マイクロパセリとマイク口バジルを飾る。 *アサりだし(作りやすい分量) (材料) アサリ500g/水500cc (作り方) ①アサリを水でしっかりと洗い、水と一緒に鍋に入れ火にかける0沸いたらあくを取り除きしっが比煮出し、濃しておく。 ②1を1/3くらいになるまで煮詰めておく。 *トマトパウダー・黒オリーヴパウダー(作りやすい分量) (材料) 中玉トマト3ケ/黒オリーヴ20粒 (作り方) ①トマトを湯むきして、種を取り除き適当な大きさにカットしておく。 ②1と黒オリーヴを60での乾燥器に入れ乾燥させ、別々にミルミキサーで回しておく。*今回初披露、アクアパッツァをパスタにした非常に日髙シェフらしい料理。ドライトマトも旨味が強く、軽いソースだがよくなじんでいてとても地中海的で美味しい。冷製パスタなので塩はやや強め。
少し辛い海苔のクリームパスタ ウニのトマトソースとセロリの葉(またはイタリアンパセリ)のフリット添え(日髙良実シェフ)
材料(2人分) ・ディ・チェコNo.88カサレッチャ・・・・・160g ・アンチョビ・・・・・・・・・・・・・・3.5g ・にんにく(みじん切り)・・・・・・・・少々 ・EXVオリーブオイル・・・・・・・・・・少々 ・トマトホール(裏ごししたもの)・・・・14g ・生クリーム47%・・・・・・・・・・・・65cc ・生ウ二・・・・・・・・・・・・・・・・40g ・はしり海苔・・・・・・・・・・・・・・2枚 ・生クリーム・・・・・・・・・・・・・・140oc ・ゆず胡根・・・・・・・・・・・・・・・1.4g ・塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g ・パルミジャーノチーズ(すりおろし)・・・10g ・セロリの芯についている柔らかい葉、又はイタリアン パセリ(180度で素揚げする)・・・・・・・・・・・・・・・適量 作り方 ①ウニトマトクリームソースを作る。 Aを火にかけ香りが出たらトマトホール、生クリームを加え沸かせる。沸いたら生ウニを加える。 ②フライパンに分呈外の水を入れ沸かせ、海苔を加えて溶かす。③2のフライパンに生クリーム、ゆず胡根を入れ、塩で味を調える。④茄で上がったパスタを3のフライパンに入れ、パルミジャーノチーズパウダーで仕上げる。 ⑤4を皿に盛り、温めたウニトマトクリームソースをかけ、フリットにしたセロリの葉(又はイタリアンパセリを飾る。*この海苔と柚子胡椒のパスタは、日髙シェフがガンベロ・ロッソ編集長故ステファノ・ボニッリのアドバイスを得て完成させた知るひとぞ知る伝説のパスタ。これまでイタリアでのイベントで3回作ったのみ。それに今回はセロリの葉のフリットを加えたが、これはその昔、神戸のアラン・シャペル時代に毎日作っていたフリット=フリチュールの思い出に由来するという。十数年前このパスタの存在を知って以来ようやく口にすることができる。海を口に含んだ様なヨードとミネラル感でほんのりと辛い。揚げたセロリの葉も海苔の香りを思わせ、とてもよくあう。
炭火で焼いた鮎とジャガイモの木の芽ジェノベーゼ和え(坂本健シェフ)
材料(4人分) ・ディ・チェコNo.7リングイーネ・・・・・・・・80g ・ニンニクオイル・・・・・・・・・・・・・・・10g ・ジャガイモ(蒸して小さくカットしたもの)・・・40g ・あさりだし・・・・・・・・・・・・・・・・・・120g ・木の芽ペースト・・・・・・・・・・・・・・・・10g ・鮎(80g程度のもの)・・・・・・・・・・・・・1匹 ・松の実(稚鮎ペーストを絡めて乾燥させたもの) 作り方 ①鍋にニンニクオイルとあさりだしを入れ沸かす。 ②1に茄で上がったリングイーネと蒸したジャガイモを鍋に入れ絡める。 ③水分が無くなったら木の芽ペーストを入れ、その後刻んだ鮎を入 れる。 ④仕上げに松の実の刻んだものをかける。*パスタはやや柔らかめ、木の芽の香りが強すぎずにバランスがよい。鮎の焦げもよくあう、大人好みのパスタ。甘みもあればなお良いと思った。
京夏野菜とジータタリアータとマジヤクリ(坂本健シェフ)
材料(4人分) ・ディ・チェコNo.118ジータ・タリアータ・・・45g ・プチトマト(1ノ4サイズにカット)・・・・・70g ・オクラ(塩で1柔んで茄でて氷水)・・・・・・20g ・ニンニクオイル・・・・・・・・・・・・・・20g ・伏見トウガラシ・・・・・・・・・・・・・・・15g ・焼きなす・・・・・・・・・・・・・・・・・・60g ・とりだし・・・・・・・・・・・・・・・・・・70g ・ピカンテ(鷹の爪)オイル・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々 ・マジヤクリ(吉田牧場の硬質チーズ)・・・・・・12g 作り方 ①ニンニクオイルでプチトマトを妙めて、火が入ったらとりだし70gとピカンテオイルを入れる。 ②1が少し煮詰まったら、焼きなすを細かく切ったものを入れる。 ③茄で上がったジータタリアータを2の鍋に入れ、刻んだオクラと伏見トウガラシを入れる。仕上げに上からおろしたマジヤクリをかける。*特注の鶏節からとったというとりだしを使ったパスタ。アミノ酸は油に溶けないため水に溶かす、オクラの粘りでソースをつなげる、と計算された調理法。夏野菜を多く使った今の季節のためのパスタ。一度「チェンチ」に行ってみたい。
トマトウォーターとボンゴレのスパゲッティ(カルミネ・アマランテ シェフ)
材料(4人分) ・ディ・チェコNo.12スパゲッテイ・・・・・・・・・280g ・ニンニク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1かけ ・オリーブオイル・・・・・・・・・・・・・・・・適量 くトマトウォーター> ・トマト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1lkg ・チェリートマト・・・・・・・・・・・・・・・・600g くイタリアンパセリのソース> ・イタリアンパセリ・・・・・・,・・・・・・・・50g ・バジル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g ・タイム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々 ・ジャガイモ・・・・・・・・・・・・・・・・・1/2個 ・あさり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・600g ・ニンニク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1かけ ・白ワイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50ml ・セロリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/2本 ・ニンジン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/2本 作り方 ①トマトウォーター: トマトを小さく切り、ミキサーにかける。ミキサーにかけたトマトを漉し布に流し込み、透明な水分だけを容器に落とす。②ボンゴレソース: フライパンに白ワインと香草、野菜、あさりを入れ火にかける。約3分後、貝が開くので殻から身を外す。フライパンに残ったソースは イタリアンパセリのソースに使うのでとっておく。 ③イタリアンパセリソース: イタリアンJ\セリと4分熱湯でゆで氷水にあげておいたバジルの葉、 茄でたジャガイモを準備する。バジルとバジルを茄でた水50mlと、 先ほどあさりを妙めたソース、茄でたジャガイモをミキサーにかけ、 漉し器に通す。 ④スパゲッティは塩を入れた熱湯で、5分茄でる。その後トマトウオータ一と茄で汁を加えたフライパンの中でパスタを絡めながら水分を飛ばすようにレて仕上げる。 ⑤皿の底にイタリアンパセリのソースをひく。その上にスパゲッティを 盛り、最後にボンゴレとバジリコの葉を飾る。*パスタは12分で上げて4分で仕上げる、という通りとてもよくパスタをあおる。さすがナポリ出身、という作り方でグラニャーノで見た作り方を思い出した。ソース、というよりもソースがなくなるまでパスタに吸わせて味を入れる手法はとても参考になる。見た目赤くないのだがトマトの酸味もここちよい。ミニマルだが高等テクニックのパスタ。
オレッキエッテ ボタンエビ 燻製ナスのピュレ パンのクロッカンテ(カルミネ・アマランテ シェフ)
材料(4入分) ・ディ・チェコNo.91オレキエッテ・・・・・・・・・140g ・ボタンエビ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10-12匹 ・EXVオリーブ、オイル・・・・・・・・・・・・・・適量 ・マジョラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量 くソース> ・セロリ・・・・・・・・・・・・・・・50g ・玉ねぎ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50g ・ニンジン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50g ・トマト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50g ・ニンニク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1かけ ・EXVオリーブオイル・・・・・・・・・・・・・・適量 ・ボタンエビ頭・・・・・・・・・・・・・・・・・・10〜12個 ・白ワイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量 ・八角・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1個 ・オレンジ果皮(おろしたもの)・・・・・・・・・・1/4個分 ・ペペロンチーノ・・・・・・・・・・・・・・・・・1かけ く標製ナスのピュレ> ・ナス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2個 ・EXVオリーブオイル・・・・・・・・・・・・・・適量 <パンのクロッカンテ> ・タマネギ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g ・ニンニク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1かけ ・アンチョビ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5g ・ケイパー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g ・ペペロンチーノ・・・・・・・・・・・・・・・・適量 ・凝縮トマトペースト・・・・・・・・・・・・・・小さじ1/2 ・白ワイン4・・・・・・・・・・・・・・・・・・120ml ・固くなったパン(塩の入っていないもの)・・・・80g ・マジョラムの葉・・・・・・・・・・・・・・・・150g 作り方 ①ボタンエビの殻と背ワタをとり、半分にカットしてオリーブオイルと マジョラムでマリネしておく。②ソース: オリーブオイルを熱したフライパンで、セロリ、タマネギ、ニンジン、トマ ト、ニンニクを妙める。フライパンから余分なオリーブオイルを取り除き、八角と内臓などを洗い落としたボタンエビの殻を加え妙める。白ワインを入れ、水をひたひたになるまで入れる。これを1時間 ほど煮詰めたものを漉し、 200mlの量にする。 ③嬬製ナスのピュレ: ナスをよく洗う。炭火グリルの上でナスをまわしながら丸ごと焼い でいく。火が通ったところで、皮を剥き、オリーブオイルとともにミキサーにかけピュレ状にする。ボウルに移し燻製の機械で5分ほど煙製の香りを纏わす。 ④パンのクロッカンテ: パンをー口サイズにカットする。みじん切にしたタマネギ、ニンニク、 アンチョビ、ケイパーにペペ口ンチーノと凝縮トマトベーストを加えフライパンで妙める。白ワインを注ぎ全体の量が半分になるまで煮詰める。煮詰まったところヘカットしたパンを施えソースを全部パンに吸い取らせる。ソースを吸ったパンを低温のオーブンに入 れ1時間加熱し、乾燥させて最後にミキサーにかけ細かくする。 ⑤フライパンにエビのソースを入れ半分の量になるまで煮詰める。 ここヘオレンジ果皮をおろしたものとペペ口ンチーノを入れなじませる。最後に茄でたオレキエッテとボタンエビを加え、ソースとよく なじませる。皿の中央にナスのピュレをひき、その上にパスタをの せる。パンのクロッカンテをちらし、マジョラムの葉を飾る。*カルミネはとにかくよくパスタをマンテカーレする。茹で湯は塩分濃度0.4%、オレンジ、八角、マジョラム、さまざまな香り。パスタの奥まで味が入っており、パスタを噛み締めつつ中に秘められた味や香りを探す作業は非常に楽しい。パスタの存在理由を突き詰めた、イタリア人らしい調理法と料理。
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