イタリア直送チーズ専門店「フィオール・ディ・マーゾ」麻布十番に誕生

イタリアのチーズが足りてないとお嘆きの諸氏に朗報。東京・麻布十番にイタリアのチーズとサルーミ(加工肉食品)の専門店「Fior di Maso フィオール・ディ・マーゾ」が4月29日に誕生した。麻布十番駅から徒歩約5分の角地、店全体がガラス張りで中の様子がよくわかる。入り口すぐにチーズが並んだガラスのショーケース、その後ろには生ハム、サラミが並ぶ開放式の冷蔵棚。イタリアの食料品店を彷彿とさせるつくりだ。チーズやハムを量り売りで購入できるほか、好みで指定する単品800円、2種類まで1600円、3種類まで2400円の盛り合わせもある。間伐材を使った曲げわっぱスタイルの蓋つき容器にはFior di Masoのロゴ。ちょっとした手土産にもいい。

イタリアでは、こうしたボッテガ風の食料品店は暮らしに欠かせない存在だ。チーズやハム類だけでなく、調味料や保存食品、パスタやパンなども売る場合もある。ほとんどが中小規模の個人商店で、問屋から仕入れるのが普通だが、Fior di Masoの母体は、ヴェネト州ヴィチェンツァの北、ティエネに本拠を構えるチーズとサルーミの熟成会社。地元産チーズの熟成からスタートした創業者アドリアーノ・キオメントは、優れたイタリア各地のチーズ、サルーミを探し求め、自社で管理熟成の上、販売するという方式で発展。今ではDOPアジアーゴ、DOP モンタージオを始めとするさまざまなチーズのほか、ヨーグルトやリコッタなども自社で製造している。パルミジャーノ・レッジャーノやグラナ・パダーノ、水牛のモッツァレッラなど地元以外のチーズや、自社製造のアジアーゴ・スペック以外のサルーミは各地の生産者と提携。主にレストランを顧客に北から南までイタリア全土のチーズとサルーミを販売している。

麻布十番に誕生したFior di Masoは一般顧客に向けた初めての直営小売店だ。一階の量り売りコーナーのほか、地下には温度湿度が管理されたチーズルームがあるのだが、そこが圧巻。切り出す前のホールのチーズが各種、木製棚に整然と並んでいるのだ。これほどのストックを持つ小売店はイタリアにもそうそうない。また、中央の台にはサラミやスペックがカゴに盛られているのだが、たまたま居合わせたイタリア人客は、イタリア味に飢えていたのだろう、それらを次々と選んで大人買いしていった。場所柄外国人客や、小体な飲食店を営む人にも重宝されているらしい。

サルーミもさることながら、チーズは状態が刻々と変化するデリケートな食品。イタリアでもいい状態のチーズに出会うことはなかなか難しい。だが、イタリア現地で厳選され、週に一度空輸されてくるチーズに“ハズレ”はまずないと期待できる。さらに、同店では認定チーズプロフェッショナルの小林深雪氏が常にチーズの状態を管理している。チーズの名前や欲しいタイプがわからなくても、小林氏に相談すればめぼしいものを勧めてくれる。時節柄、試食は現在できないが、近々、一階にワインバーも設ける予定だという。チーズの盛り合わせ、サルーミの盛り合わせ、あるいは両方の盛り合わせとワインをスタンディングで楽しむスタイル。Withコロナの新しい生活様式の中に彩りをもたらしてくれそうだ。

 

Fior di Maso フィオール・ディ・マーゾ

港区麻布十番3-7-3 十番コアビルII

tel.03-6722-6303