コロナにひざまづくシチリアに奇跡を!!
6月に入ってからというもの、イタリア各地の有名レストランも続々と営業を再開。州間移動も許可された現在、新しい営業スタイルやメニューを発表し再び美食を求めて旅したいと思わせてくれる、魅力的なニュースがイタリアからは続々と届きつつある。しかしシチリアを代表するシェフ、チッチョ・スルターノの場合はそうではないようだ。基本的には飛行機に乗らないと訪れることができないシチリアのレストランにおいては、旅行者の存在が何よりも重要なのだ。しかし夏を迎えるというのにシチリアの観光はいまだ復活の気配が見えない。そんな中チッチョから届いたメッセージは悲痛なもので、時間切れになる前に人々がシチリアを訪れ、レストランに食事しに来て欲しい、という懇願に似た内容だった。昨年5月にチッチョの元を訪れた時は新しいシェフズ・キッチン「カンティエリ」はじめ、多くのプロジェットをスタート、つまり投資をした直後だった。その一年後このような状況になるとはチッチョ本人のみならず、誰も想像できなかったはずだ。以下そのメッセージを全文紹介する。少々わかりにくいので補足すると、6月19日の発表によればシチリア州全体の感染者数は850人とされていたが、再調査したところ153人だったことがわかり、問題となっている。チッチョがいう「8倍」とはこの「ネガティヴな」事実を表しているのだ。 「ポジティヴ」な島シチリア シチリアでは新型コロナウイルス感染者(ポジティヴ)の数が8倍多く発表されていました。しかし本来ならば増えて欲しかったのは感染者ではなくお客さんなのです。確かに今回のコロナ禍は、多くのことについて考え直す機会を与えくれました。犠牲を払いつつも一気果敢に、新しいスタイルを試しつつ席数を減らし、他のレストランに比べると地理的にずっと離れた場所=シチリアから再出発してみました。しかしいま、わたしたちは再び沈み込もうとしています。感染者(ポジティヴ)は800人ではなく100人だったのです。シチリアは素晴らしい島です。神の思し召しがコロナをシチリアから遠ざけてくれたというのに、その恩恵を活かすことができませんでした。いま、わたしたちが待っているのは神の意思とは違う奇跡、つまりお客さんです。みなさん申し訳ないが、シチリアに来てもらえませんか?わたしは感染者(ポジティヴ)が増えていったときのように、お客さんも増えて欲しい。しかし時間はあまりないのです。50年も待っているというのに、今年もカターニアとラグーサを結ぶ高速道路は完成しないでしょう。子供たちの世代にはこうした奇妙な奇跡が続かないように、真剣に祈りたい。シチリアは何年もの間ポジティヴ(前向きなこと&感染者)の計算を間違えて来たのですから。 L’Isola che pensa “positivo” Abbiamo moltiplicato per otto i positivi. Mi piacerebbe altrettanto moltiplicare i clienti. Quindi è vero, le crisi offrono l’opportunità di pensare in grande. In un colpo solo, a costo di qualche sacrificio marginale, ci siamo regalati una prova d’efficienza, scalando posti, partendo da lontano rispetto agli altri. E adesso, siamo ripiombati in fondo alla classifica: non erano 800, ma cento positivi. Questa è un’isola meravigliosa. La provvidenza ci ha tenuti lontani dal covid e noi le abbiamo fatto lo sgambetto. Ora, siamo in attesa del miracolo opposto, dire: scusate tutti, potete venire in Sicilia? Vorrei moltiplicare i clienti come si moltiplicano i positivi. Faremo in tempo? Certo che, anche quest’anno, non faremo in tempo a terminare la Catania-Ragusa che aspetta da cinquant’anni. Chiudo con una preghiera vera. Mi auguro che i nostri figli non debbano continuare a vivere in un posto di strani miracoli, dove si sbagliano i conti dei “positivi” e degli anni. シチリア州はロックダウン後の観光客誘致プロモーションとして7500万ユーロ(約90億円)を投じ、航空券やホテル代の補助、美術館などの無料チケット配布などさまざまな方法を模索して観光業の復活をサポートすることを発表した。日本からイタリアへの渡航は2020年6月21日現在も外務省の感染症危険レベル3で不要不急の渡航中止勧告が出されたままだ。今この段階で計画するのは時期尚早だが、現在よりも状況が改善し、イタリアへの渡航が解禁された折には是非シチリアを訪れ旅して見たい、そう思う稀有な方はいるだろうか?もしいるようであればともにチッチョのもとを訪れて魅惑的な島を旅し、そのポジティヴな奇跡を目撃してみたい。チッチョのメッセージを読んだいま、その叫びに応え2020年度中に「シチリア美食ツアー」を計画したいと、真剣に考えている。SAPORITAをもっと見る
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