グリーンパス導入後のイタリア
イタリアでは8月からワクチン接種証明書、いわゆる「グリーンパス」の運用が始まった。これはワクチン接種後(1回でも取得可能)、あるいはPCRテスト陰性者、あるいは新型コロナウイルス罹患者が取得可能な証明書でQRコードとしてスマホで携帯し、公共の場などで提示することができるシステムだ。デジタルデバイスを持ってない場合は紙の証明書の携行も可能で、ワクチン接種同様すべて無料。9月1日からは州を超える鉄道やバスでの移動、レストランやバールなど屋内飲食の際は必ずこの「グリーンパス」を提示することが義務付けられており、不携帯の場合は入場できなくなっている。イタリアはヨーロッパで最も早く新型コロナウイルスの爆発的感染が始まった国だけに出口対策も素早く、ロックダウンはじめ世界に先駆けた対策も多かったが、この「グリーンパス」導入も本格的経済活動再開への積極的措置のひとつ。9月16日からは学校、会社、役所などすべての職場でグリーンパスの携帯を義務付ける法律が可決された。「グリーンパス」を携行せずに出社した場合、最高1500ユーロの罰金が課され、出社禁止や給与の支払停止といった強硬な措置がとられることも話題となり、日々テレビやラジオでその法解釈をめぐって活発な議論が交わされている。 ところで「グリーンパス」を所持していないと外国人はイタリアには入国できないのか?というとそんなことはなく、これは各航空会社の規定によるが現在はイタリア入国72時間以内のPCR検査陰性証明書、ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート=Certificate of Vaccination)、イタリア入国に関する宣誓書(dPLF)の3点セットがあれば入国は可能。また日本のワクチンパスポートは「グリーンパス」に相当する接種証明書として有効なので、ワクチンパスポートがあればイタリア国内でも移動や屋内での飲食も可能なのだ。先日日本で2回目のワクチン接種を終え、ワクチンパスポートを取得してからイタリアに戻った際も、電車やバール、レストラン、イベント、訪問先企業など行き先々で必ずワクチンパスポートの提示を求められた。逆にいえばワクチンパスポートさえあればイタリア国内でも自由に活動できることが証明されたわけだ。 また、屋内では「グリーンパス」の提示が必要だが屋外でのテラス席などでは提示不要であり、そのせいもあってか久しぶりのフィレンツェではテラス席を出すレストランやカフェ、バールが「お、この店もか?」と思えるほどやけに増えていた。それはフィレンツェ市が屋外席の設置を推奨し、道路使用料の免除や設置費用補助をするなど、これまでの1年半に実施してきたレストラン救済策のおかげでもある。そうした数多くの施策効果もあり、イタリアの日常はコロナ前とほぼ変わらない活気を取り戻している。往来を歩くときはみなノーマスクで、商店やバールに入るときはマスクを装着するという習慣もすっかり定着したようだ。イタリアの日常は確実に戻りつつある。日本から自由なイタリア旅行ができる日も、そう遠くはないはずだ。

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