Gambero Rossoが選ぶ日本のトップイタリアンレストラン
10月のある日、久しぶりにガンベロ・ロッソ・インターナショナルGambero Rosso Internationalのロレンツォ・ルッジェーリLorenzo Ruggeri編集長から一通のメールが届いた。「今回日本で3年ぶりに開催されるトレ・ビッキエーリ2023発表会に自分は行けないのだが、同時に表彰する日本のトップイタリアンレストランはこれでいいか、確認して意見をもらえないだろうか」という内容だった。ロレンツォとは昨年10月、ローマで開催されたトレ・ビッキエーリ2022の発表会で久しぶりに数日一緒に時を過ごし、今回も日本で会えるかと楽しみにしていたのだがかなわず。それならばと受賞候補リストに2軒ほど加えて推薦し、当日の発表を楽しみにしていたのだ。
3年ぶりに開催されたガンベロロッソのトレ・ビッキエーリ日本ツアーはこれまでと同様六本木のザ・リッツ・カールトン東京で開催された。開会にあたりまずジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使、ついでガンベロ・ロッソCEOルイジ・サレルノが挨拶。そして日本のトップイタリアンレストランの発表と表彰が行われた。ガンベロ・ロッソが選んだ2023年度版日本のトップイタリアンレストラン11軒は以下の通りだ。
3 FORCHETTE(3本フォーク=ファインダイニング)
イル・リストランテ ルカ・ファンティン Il Ristorante – Luca Fantin
アルマーニ / リストランテ Armani/Ristorante
2 FORCHETTE(2本フォーク=ファインダイニング)
オステリア・グッチ Osteria Gucci
エトゥルスキ Etruschi
アンティカ・オステリア・デル・ポンテ Antica Osteria del Ponte
ファロ Faro
2 FORCHETTE(2本フォーク=トラットリア)
トラットリア・ダイ・パエサーニ Trattoria dai Paesani
エリオ・ロカンダ・イタリアーナ Elio Locanda Italiana
3 SPICCHI(3スライス=ピッツェリア)
ザ・ピッツァ・バー・オン・ザ・サーティエイト The Pizza Bar on the 38th
ペッペ・ナポリ・スタ・カ Peppe Napoli sta ca’
2 SPICCHI(2スライス)
ダ・イーサ Da ISA
リストランテ部門=ファインダイニングの最高峰に当たる3本フォーク Tre Forchetteは「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」「アルマーニ / リストランテ」の2軒が2年連続受賞。「アルマーニ / リストランテ」のシェフ、カルミネ・アマランテ Carmine Amaranteは昨年12月ガンベロ・ロッソのシェフ・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。さらにリストランテ部門の2本フォーク Due Forchetteとして「グッチ・オステリア」「ファロ」「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」「エトゥルスキ」の4軒。「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」は今年で開業20周年、かつてイタリア史上2番目のミシュラン3つ星として一斉を風靡した同名店の日本店。ぶれることなく古き良きイタリア高級料理としての立ち位置を守り続けたその姿勢に対する功労賞的な意味合いもある。
一方トラットリア部門の2本フォーク Due Forchetteは「トラットリア・ダイ・パエサーニ」「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」の2軒。「トラットリア・ダイ・パエサーニ」のオーナー、アブルッツォ出身のジュゼッペ・サバティーノは自ら畑を耕して野菜を育て、ヴェントリチーナはじめ伝統的手法に則ったサルーミを作る、真のガンベロロッソ的求道者。
ピッツェリア部門からは3スライス Tre Spicchiが「ザ・ピッツァ・バー・オン・ザ・サーティエイト」「ペッペ・ナポリ・スタ・カ」、2スライス Due Spicchiが「ダ・イーサ Da ISA」。「ザ・ピッツァ・バー・オン・ザ・サーティエイト」のシェフ、ダニエレ・カソンはマンダリン オリエンタル 東京全体のエグゼクティブシェフなのだが、自らが考案した小さなピッツァ・コーナーで日本唯一と言っていい現代的ピッツァ「ピッツァ・コンテンポラネア」を提唱している。イタリア的伝統を踏襲しつつも普遍的でない料理に取り組む全ての受賞店に心から敬意を評したい。