Il Locale@Firenze シモーネ・カポネットによる注目の新メニュー登場

Firenze旧市街にあるレストラン&バー「Il Locare イル・ロカーレ」は、現在のフィレンツェで最もホットなスポットだといっても過言はないだろう。毎夜賑わいを見せるその佇まいはルネッサンスの街並みに見事に溶け込んでいるが、一歩内部に足を踏み入れるとまず緑鮮やかなバーコーナー、そして奥にはレストランスペースが。モダンとクラシックが融合した美しい空間が広がっている。パラッツォ・コンチーニと呼ばれるこの邸宅は、16世紀メディチ家のコジモ1世 (1519~1574年) も暮らした由緒ある建物。地下にはローマ時代の遺構も残されており、歴史的にも貴重な空間で過ごすひとときは格別の思い出だが、何よりも注目を集めているのはシェフ、シモーネ・カポネットのクリテイティブな料理の数々だ。

2021年「イル・ロカーレ」シェフに就任したシモーネはフィレンツェ生まれの生粋のフィオレンティーノ。大学卒業後にアメリカや日本、東南アジア、インドなど10年にわたって世界各国を旅し、旅費を稼ぐためにその都度現地のレストランで料理人として働いたキャリアの持ち主だ。そうした経験の中でシモーネは徐々にガストロノミーを志向するようになり、日本では「NARISAWA」、スペイン「ムガリッツ」、ローマ「ハインツ・ベック」などで研鑽を積む。2019年に生まれ故郷のフィレンツェに戻ると「イル・ロカーレ」シェフに就任。世界各国で学んだ知識や経験をクリエイティブなイタリア料理としてアウトプットし続けているのだ。


2024年秋のメニュー「コンサペヴォレッツォ=意識」(6皿120ユーロ、9皿160ユーロ)はその最新形だ。まずアミューズブーシュはムール貝とブッロ・ピッカンテ(辛いバター)、カチョカヴァッロのグラタン、松の実のブッラティーナとオーリオ・ヌオーヴォ、タラゴンのブリオッシュを使ったエビとサフランのマリトッツォから始まる。さらに鹿のタルタル、乳酸発酵させた桑の実添え、牛乳のクリスピー湯葉、アンチョイアードソースと続く。レンズ豆は燻製バター、パルミジャーノ、レンズ豆味噌を使ったヴィーガンマヨネーズでマンテカーレし、リンゴとフェンネル、セロリのスピエディーノで酸味やフレッシュな野菜の風味をプラス。ウナギのグリルは照り焼き風ソースを塗って焼き、オッソブーコとグレモラーダソース、さらにトスカーナ産の魚介と柑橘を使った「茶碗蒸し」を敷いてある。これはシモーネが日本での体験をイタリア料理に具現化したものだ。最後のデザートのテーマは「朝食」すなわち、カラメリゼした黒麹で作ったザバイオーネとコーヒーのジェラート、麹を使った米のブディーノという、これもまた日本の発酵文化へのオマージュで締めくくる。

「コンサペヴォレッツァ=意識」とは、地域=テロワールと料理の結合を表現することです。それはわたしがこれまで体験した味や旅、料理を反映しているのです」とシモーネは語る。食材に関しても専用の菜園では鶏やアヒル、ハトも飼育し、地産地消=キロメトロゼロを目指している。また「イル・ロカーレ」はバー部門でWorld’s 50 Best Bars 36位にランクインしており、料理とカクテルのペアリングも可能。最新イタリアン・ミクソロジーを体験したい方にはこれもまた魅力的かと。

公式サイト
https://www.localefirenze.it/


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