エミリア・ロマーニャ、フードヴァレーの旅1ボローニャ編

2025年11月「エミリア・ロマーニャ州観光局」「イタリア政府観光局 ENIT」の招待で食の宝庫エミリア・ロマーニャ州をくまなく回ったのでその模様を4回に渡ってお届けしたい。エミリア・ロマーニャ州といえば真っ先に連想されるのがイタリア料理には欠かせない数々の食材だ。プロシュット・ディ・パルマ、クラテッロ・ディ・ズィベッロ、モルタデッラ・ディ・ボローニャなどに代表される数々のサルーミ、チーズの王様パルミジャーノ・レッジャーノ、エステ家秘伝のアチェート・バルサミコ、ソルバーラ、グラスパロッサに代表されるランブルスコ、そして各街ごとにレシピも異なるといわれる数々の手打ちパスタなどがあり、ボローニャからパルマにかけての一帯は食の谷=フードヴァレーと呼ばれているほど。

イタリア料理がユネスコ世界無形文化遺産に認定されたこともあり、現在エミリア・ロマーニャ州はこうした食の聖地をめぐる旅を積極的にプロモーションしている。さらにエミリア・ロマーニャ州にはパルマ、モデナ、ボローニャはじめレッジョ・エミリア、ラヴェンナなど歴史と文化が豊かな11の都市があり、移動もスムーズなので旅のデスティネーションとしては理想的な土地なのだ。

まず今回最初に訪れたのがボローニャだ。西欧最古を誇るボローニャ大学と回廊=ポルティコに代表される赤い街並みは上品で落ち着きがあり、ドゥカティやランボルギーニといったイタリアのモーターインダストリーを支える世界的企業もある。マッジョーレ広場近くに広がる屋外市場を歩けばさまざまな食材が目に入るだろうし、より専門的な食の探訪を求めるなら「カルピジャーニ・ジェラート博物館」「FICO」もある。今回ランチで訪れたのはボローニャ大学近くにある書店レストラン「ヴァモラ Va Mo La」へ。カジュアルな雰囲気ながらも徹頭徹尾ボローニャ伝統料理を揃えたメニューは一見の価値がある。8種類あるプリモからはウルトラクラシックな「グラミーニャ・パンナ・エ・サルシッチャ Gramigna panna e salsiccia」と「タリアテッラ・ボロニェーゼ Tagliatella Bolognese」。肉は包丁切り、トマト入りの赤ラグーとの注釈がある。霧に包まれた寒いボローニャで味わう手打ちパスタは、冬にこそそのありがたみがわかるとしみじみ思う。

続いてボローニャ郊外にあるトリュフの聖地サヴィーニョへ。ここではトリュフを専門に扱う「アペニンノ・フード・グループ Appeninno Food Group」のルイジ社長に誘われて今が旬のトリュフ狩りへと出かけた。熟練のトリュフハンター=タルトゥファイオは犬と共に、最も簡単そうに次から次へと白トリュフを探し出す。犬へのご褒美はモルタデッラというのがいかにもボローニャらしくて微笑ましい。トリュフ狩りの後はサヴィーニョを代表する名店「アメリーゴ」へルイジとともに向かう。久しぶりに訪れた「アメリーゴ」は昔と全く変わらない佇まいで、店主のアルベルトも以前と全く変わらない風貌。「若い時から毛がなかったからな」と笑うアルベルトだがそのプロフェッショナルな姿勢はイタリアを代表するトラットリアである。そのメニューはというと秋の恵みとサヴィーニョの伝統を味わう圧巻の品揃え。

「森のズッパ 栗とトリュフ、野草 Zuppa di bosco e sottobosco con castagne, tuberi ed erbe selvatiche」「白トリュフのタリアテッレ Tagliatelle al tartufo bianco(Tuber Magnatum Pico)」「カボチャのカラメッレ ジビエのラグー Caramelle di Zucca con ragu di selvaggina」「アメリーゴ卵、黒トリュフ、アペニン山脈の野生のキノコ Uovo Amerigo al tartufo nero liscio e funghi spontanei dell’Appennino (Tuber macrosporum Vitt.)」「スプーマ・ディ・リコッタ・コン・サバ Spuma di ricotta con Saba」「森のズッパ」は冷えた体にその滋味が染み渡り、バターと白トリュフの香りが芳しいタリアテッレは滑らかな口当たり。カボチャの詰め物ののカラメッレ=トルテッリはジビエ・ラグーの力強さがよく合い、ハイライトのアメリーゴ風トリュフのポーチドエッグは20年前と変わらない永世定番。そしてサバをソースにしたリコッタは素材重視、その素朴な美味しさに目をむいた。

ボローニャの旅はもちろん旧市街を歩くのもいいが機会があればサヴィーニョまでのワンデイトリップに出かけてみてほしい。街中では味わえない素朴な味に出会え、その感動は長く記憶に残るはずだから。

Special thanks to:Emilia Romagna Turismo, ENIT


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