エミリア・ロマーニャ、フードヴァレーの旅2パルマ編





食の宝庫エミリア・ロマーニャ州への旅は、ボローニャからパルマへと向かう。パルマといえばイタリア料理界における2大キラーコンテンツ、プロシュット・ディ・パルマとパルミジャーノ・レッジャーノがある食の都だ。街を歩けばあちこちの食料品店の店先をプロシュットとパルミジャーノが飾り、イタリア初のユネスコ美食都市でもある。プロシュットとパルミジャーノなどパルマ食材に特化した食品博物館もパルマ郊外に8ケ所点在しており、イタリア屈指のトマトメーカー「ムッティ」や世界一のパスタメーカー「バリラ」の本社もある。芸術と建築の街でもあり、壮麗な大聖堂や洗礼堂、パラッツォ・デッラ・ピロッタ、ファルネーゼ劇場はパルマを代表するモニュメント。音楽に目を向ければジュゼッペ・ヴェルディはパルマ郊外ブッセートに生まれ国民的音楽家の地位を築き上げたし、アルトゥーロ・トスカニーニもまたパルマの出身だった。





今回訪ねたパルミジャーノ・レッジャーノ工房が「スカラブリーニ Scalabrini」でここもまた久しぶり、2度目の訪問になる。「スカラブリーニ」はレッジョ・エミリア郊外に1940年代に創業。現在ホルスタイン、ビアンカ・モデネーゼ、ヴァッカ・ロッサ・レジャーナなど850頭を飼育し、年間約6000個のパルミジャーノ・レッジャーノを生産している。大量のパルミジャーノ・レッジャーノが熟成を重ねつつ出荷を待つ貯蔵庫で24ケ月、36ケ月などをテイスティング。フレッシュなミルクのニュアンスにアミノ酸の旨味が重なる24ケ月が秀逸だった。さらにアチェート・バルサミコを訪ねて「イル・ボルゴ・デル・バルサミコ」へ。DOPアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・レッジョ・エミリア DOP Aceto Balsamico Tradizionale di Reggio Emiliaを熟成期間別に3種類生産している。伝統に則り屋根裏部屋に作られた熟成庫はバッテーリという専用の小樽に詰められ、気化して減った分を古いバッテーリから注ぎ足す様はシャンパーニュ製法のリカー・デクスペディシィオン=ドサージュ液、を思い起こさせる昔ながらの製法だ。







今回パルマを訪れた最大の目的はミシュラン・イタリア2026アワード発表会なのだが、その前夜には「アッカデミア・バリラ Accademia Barilla」で2つ星シェフ「ディーオー D’O」のシェフ、ダヴィデ・オルダーニ Davide Oldaniによる、バリラのパスタを駆使したスペシャル・ガラ・ディナーが開催された。オルダーニは2019年パリで開催されたバリラ主催のパスタ・ワールド・チャンピオンシップでも審査委員長を務めるなどバリラとの関わりが深く、ロジャー・フェデラーと共にバリラのCMに出演するなどバリラの顔的存在である。この夜オルダーニが披露してくれたのはバリラの新作である初のブロンズダイス製品アル・ブロンゾを使ったメニュー。まず最初に登場したのがイカスミの黒いシートに包まれた。「フジッリ・アル・ブロンゾ ”アル・ネロ” Fusilli al Bronzo “Al Nero” cavolofiore in giadiniera e profumo di aneto」。シートのの下には酸味があるカリフワラーのソースを使ったフジッリ。
続く「メッツィ・リガトーニ・アル・ブロンゾ ホースラディッシュ、ペコリーノ、焦がしレモン Mezzi Rigatoni al Bronzo, rafano crudo, pecorino, limone nero bruciato e in composta」のイメージはカチョ・エ・ペペ。ペコリーノのソースに別添えのメッツィ・リガトーニをディップ=スカルペッタして食べる。味わいはカチョ・エ・ペペなのだがホースラディッシュの絡みと黒胡椒に見立てた焦がしレモンのパウダーは清涼感があり、これもまた素晴らしい。「仔牛のコンフィとカボチャのロースト Vitelli all’olio, salsa al vino rosso e zucca arrostita e mela cotogna」の後、最後のデザートにもパスタが登場。なんとティラミスをパスタで表現した「スパゲッティ・アルブロンゾ “ティラミス” Spagetto al Bronzo “Tiramisu”」だ。これはスパゲッティをエスプレッソで加熱し、カスタードクリーム、ビターチョコレートチップを添えたデザートでそのアイディアはもちろん上質なティラミスを再現したその味におもわずうなった。さすがダヴィデ・オルダーニ、イタリアの伝統をファインダイニングとは異なるベクトルの「クチーナ・ポップ」に仕上げる第一人者の実力をいかんなく発揮されたガラディナーだった。ちなみにこの「アッカデミア・バリラ」のアーカイブには「極旨パスタ」など拙著も数冊展示されているので機会があればお手に取ってみていただきたい。
Special thanks to:APT Servizi Regione Emilia Romagna, ENIT S.p.A.
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