La Bettola di Piero@MILANO

ここのところミラノで泊まることが多いポルタ・ロマーナ地区は住宅街なのだが飲食店も以外と多い。観光客が来るエリアでもないので地元の住民に愛されている、古くから続く店が多いような気がする。「ラ・ベットラ・ディ・ピエロ La Bettola di Piero」はやはりPorta Romana近くにあるオステリアなのだが、Google MAPを頼りに行かないとなかなかたどりつけないような曲がりくねった小径の先にある。「カルカノ劇場」の近くなのでDopo Carcanoつまりアフター・シアターの店としては古くから有名だったらしい。

店を仕切るのは「マダム」モニカで、昔のイタリア映画に出てきそうな、ミラノというよりはローマの下町にありそうな空気感が漂うが、料理は徹頭徹尾こびないぶれない、のミラノ料理である。突き出しで出て来るのはポレンタ・イン・カルピオーネ、つまり南蛮漬けとポレンタをあわせた総菜。ブレザオラ、プロシュート、カポコッロなどミラノ周辺のサラミ盛り合わせ、そして極めつけはルスティンネガアRustin negaである、これはarrostino annegatoに語源があるらしいがいうならば「溺れロースト?」ローストした子牛肉を白ワイン、ブロード、タマネギ、豚バラ、その他野菜もろもろを加えたサルサ、というよりも濃厚スーゴの中で煮込む、そんなイメージのヘビー級かつコ(ス)トレッタ・アッラ・ミラネーゼと並ぶ子牛肉料理。

汗かきながらこれと格闘し、食べ終わる頃にはエネルギー充電というよりも放電したような達成感に教われる。厚切りの子牛肉をよく切れるナイフですぱりすぱりと切りとってスーゴをつけて食べる快感。かつて「イタリアの老舗料理店」の取材でイタリア中を回っていた頃、ミラノの老舗トラットリア・デッラ・ペーサでやはりルスティン・ネガアと「格闘」したことがあったが、それに勝るとも劣らない本格的かつ迫力満点の闘う料理を体験したいなら。