イタリアの老舗料理店10 アンティコ・リストランテ・ベッケリエ創業1875年
四方を堀に囲まれたトレヴィーゾは豊かな水の町である。ボッテニーガ川とシーレ川の合流点にあることから、水路が複雑に入り組んだ様はヴェネツィアを思わせるが、それは海水でなく淡水であり、小川を見下ろせば水草を縫うように鱒が泳ぎ、おしどりが羽を休める自然と共… 続きを読む
四方を堀に囲まれたトレヴィーゾは豊かな水の町である。ボッテニーガ川とシーレ川の合流点にあることから、水路が複雑に入り組んだ様はヴェネツィアを思わせるが、それは海水でなく淡水であり、小川を見下ろせば水草を縫うように鱒が泳ぎ、おしどりが羽を休める自然と共… 続きを読む
ヴェネツィア旧市街からリアルト橋を渡り、しばらく歩くと今も現役の威勢のいい魚市場に出る。石造りのロッジャと呼ばれるアーケードの下には、アドリア海の幸を美しく並べた屋台がずらり。市場の端はカナル・グランデに面していて、とれたての魚がどんどん船で運ばれて… 続きを読む
ヴェネツィアからローカル線の各駅停車に乗ること約一時間二十分。ヴェネト平野の鄙びた風景を車窓に眺めていると、やがてドロミティ渓谷の南裾野にある山間の町バッサーノ・デル・グラッパに着く。この町はイタリアを代表する食後酒「グラッパ」の聖地である。古い城壁… 続きを読む
ペスケリア市場からカナル・グランデを挟んだ対岸、カ・ドーロへと渡るにはゴンドラの渡し船「トラゲット」がいい。カナル・グランデにかかる3つの橋のひとつ、リアルト橋を渡るのはあまりに遠回りなので、朝市に買い物に来る地元の人々はみなこのトラゲットを利用して… 続きを読む
迷路のようなヴェネツィアの街を歩いていると、細い路地の突き当たりに薄暗い電灯がともり、何やら怪しげな酒場に地元の男たちがたむろしている光景に出会うことがよくある。間口一間ばかりの店はカウンターのみ。ガラスのショーケースにはさまざまなつまみが並び、店主… 続きを読む
イタリア半島のつけね、気候温暖なリヴィエラ海岸の中央に位置するジェノヴァはイタリア最大の港町で、かつてはヴェネツィアと地中海の覇を競い合った海洋共和国であった。コンスタンチノープルの陥落で地中海の足場を失うものの、クリストファー・コロンブスら優秀な船… 続きを読む
トリノの旧市街にカルロ・エマヌエーレ二世という名の広場がある。冬の夜には現代アーティストによる照明が灯り、なんとも暖かい気分にさせてくれる広場だが、その中央に統一イタリア初代首相エミリオ・ベンソ・カヴールの像が立っている。皇帝アウグストゥスのように長… 続きを読む
ミラノを訪れたなら必ず一度はヴィットリオ・エマヌエーレ二世のアーケード、通称ガッレリアに足を運ぶことだろう。大聖堂ドゥオモから人ごみをかきわけて巨大なアーチをくぐりぬけると、冬でも陽光降り注ぐガラスの回廊ガッレリアに出る。イタリア統一直後の一八六五年… 続きを読む
モーダ都市ミラノではレストランの流行廃りが他の都市とは比べ物にならないくらい早い。和食が流行ったかと思えば次はワインバー、今度は魚料理。果たして次の流行は?と誰もが予測するような風潮は東京に近い感覚がある。逆に言えばなんでも広い選択肢がある大都会。さ… 続きを読む
はじめて「マスエッリ」を訪れたのはある秋の昼食時のことだった。店があるのは市内中心部から歩いて行くには少々遠いウンブリア大通り。戦前はミラノ市郊外で何もないところだったそうだが、現在はミラノをとりまく外周道路の一部で、イタリア鉄道ポルタ・ヴィットリア… 続きを読む